2008-09-13

寅福

Westside Pavillionの西側にある和食レストランに行きました。
羽釜で炊いたご飯がお代わり自由と聞き、ご飯が引き立つおかずをメニューを見たところ、豚のしょうが焼き、牛焼肉、焼き秋刀魚、とんかつ、ミックスフライ、と並んでいて、うーんうーんと3度くらい唸って決めたのがとんかつ$12、夫はミックスフライ$12でした。

久しぶりに食べたふっくら炊き上げた白いご飯はおいしかったです。夫は玄米ご飯を頼んでいたのですが、お茶碗一杯分でご飯が切れてしまい、2杯目は白いご飯で食べていました。
キャベツは千切りにしてありマヨネーズと食べるようになっていました。とんかつは肉が厚く衣がしっかりついていました。辛子ととんかつソースが添えられていました。これにわかめの味噌汁と漬物と小鉢がつきます。この日は切り干し大根でした。
夫のミックスフライには海老フライ、コロッケ、一口かつがお皿にのってきました。エビフライにはタルタルソース、コロッケと一口かつはソースで食べるようになっていました。お味噌汁と漬物と小鉢は同じでした。

お客さんは20代の若い人が多くカレッジの学生もいました。日本の味が懐かしくなるのでしょう。

ご飯が自慢のこのお店の白いご飯に、我が家の五目ヒジキ煮、切り干し大根、卯の花煎り、カボチャ・大根・茄子などの季節の野菜の煮物をおかずに食べたいと思いました。

児童書読み聞かせ会

Pico Blvdを西に向かって走り、Westside Pavillionに行くまでの南側にChildren's World Booksという児童書専門店があります。子供向けの本を常時8万点揃えていて、専任の相談員がいるというのが自慢のこのお店でハリウッド女優で児童書作家でもあるジェイミー・リー・カーティスによる新作絵本の読み聞かせとサイン会がありました。

会の開始から30分前に到着したときにはすでに読書会に参加する親子がぞろぞろと入り口から入るところが見え、会場の床の3分の1は親子で埋まっていました。
夫と私は会場に入っていく親子を横目で見ながら、サインを貰う本を選びました。文章がシンプルかつ軽快で印象に残る一言が加えてあります。テーマが自信、人種、成長、努力と親が子供に求めるものです。目を通した絵本全部欲しくなったけれど、ここは我慢。迷いつつ選んだのはI'm Gonna Like Meでした。

子供たちがころころと床に転がっている間を縫って会場の隅に陣取りました。係りの販売員が子供たちを前方の床に集め、大人は後方で見ているように指示をだします。ささっと親元を離れて前に座る子もいれば、親の手をとってぐずぐずとくっつく子もいます。子供は万国共通です。

やがてジェイミーが入室して始まりました。最初の10分くらいはこれまで出版した本の宣伝、それから読書会参加の注意です。ソファにひっくり返ってみたり、拗ねたり怒ったりの感情アクションをしたり、声色を使ったりと身体を使った表現はさすがに女優です。読書に入ると、声の調子、高低、強弱、緩急自在に文を読み分けていきました。全ての発音がはきはきと美しくハリウッド仕込の言い回しそのままでした。

読み聞かせが終わるとサイン会です。約100人の子供とその親たちの相手を初めのうちは景気よく、途中からお疲れ気味で最後は消耗し切った様子でした。
私の前に並んでいたのは日系3世と5世のおばあちゃんと孫。おばあちゃんの着ていたブラウスは日本の着物を仕立て直したもので、ピンクの花模様が可愛らしく、別布で仕立てたバックには茶色地に江戸時代の日記の一部が書かれていました。聞けばそのおばあちゃんのおばあちゃん、つまり一世が日本から持ってきた浴衣や着物や手ぬぐいを自分で仕立て直して使っているそうです。ジェイミーはその孫の記憶に残った難しい単語を本に書き、一緒に発音して、カメラに収まりました。
私の番になりました。サインをしてくれていた間、私の司書ネタを披露しました。子供のいない私たちはあっさりと終わってしまいました。

書店に戻ってじっくりと本を眺めました。「はなのすきな牛」のような古典絵本からエリック・カールやガース・ウィリアムスの挿絵が入った絵本を見つけて嬉しくなりました。移民国家のアメリカならではの各民族の絵本やイスラム教・仏教・ユダヤ教の宗教絵本もありました。何時間もいたくなるお店です。

2008-09-11

個人レッスン

きのこのぶろぐで恒例?の体験シリーズ。今回は真面目な話題。Tutoring(個人教授)を受けました。
8月に受けたTOEFLの結果が先週届きました。予想していたとはいえ、散々でした。致命的なのはSpeakingとWriting。この2分野にはかなりのてこ入れが必要です。次の受験まで効率よく学習をすすめる為に私は以前グループレッスンでお世話になった先生に個人レッスンをお願いすることにしました。

レッスンは5時から6時の間の約束でした。先生は4時45分に到着。挨拶もそこそこにレッスン開始です。
まず、見るも無残なテスト結果を先生に見せて現状を分析してもらいます。全分野の成績結果と寸評にざっと目を通して、強化すべきWritingと Speakingの評価はじっくりと読んでいました。その様子を見て成績評価表をコピーして渡したほうが良いと判断した私は、先生にコピーを渡すことを伝えて表を返してもらい、代わりに家で書き溜めていたWriting Tasksを渡しました。私がコピーをとっている間に英作文課題を猛烈な勢いで添削をしてくれました。

時間は5時。レッスン開始です。先生のボールペンの色は青、日本だったら真っ赤になって返ってきた課題作文はTOEFLのWritingでPBTの頃から続いている200題の課題から私がランダムに選んで書いたものです。動詞と前置詞の組み合わせ、冠詞、そして名詞の単数形と複数形は私自身が弱点と自覚しているにも関わらずなかなか克服できない(向上がみられない)ところです。ああ、またか、と気落ちをしていたら、「それは英語を第2言語としているアジア人によくある間違いだから、気にしなくていいわよ。(いえいえ、気になります)それよりも、丸で囲んだこことここ(とペンで紙上の文を指し示して)の視点が気に入ったわ。いい考え方だと思う。だから、その辺りをもっと膨らまして書くと字数も増えるし、説得力のある文になるわよ。そこから始めましょう。」と言われました。

先生が課題を読み上げ、それについての私の意見を口頭で述べると、先生が紙に書いてくれます。more detail もっと詳しく, explain it ちゃんと説明して, specific 具体的にと先生は書きながら指示を出します。私は指示に応じて、頭で文を組み立てて口から出します。英作文にSpeakingの練習を兼ねています。私の言った文を書き終ると、問題のある文を四角で囲みました。それを先生が「私ならこうするわ」と文章をしゃべりつつ、意味は残して全く違う文にしてしまいます。その劇的な変化は目を見張るばかりです。この調子で準備した6つの課題作文の内を3つを書くと60分経ってしまいました。先生のアドバイスに従うと実践的Writingの技術を身につけるのは簡単だそうです。

1つの作文に20分、300語。テストでは1つの作文に30分、300語です。いかに早く整理された説得力のある文が勝負の分かれ目です。ペースアップを図りつつ内容の濃い文章を書けるようになりたいです。

1時間レッスンの終わりに、テスト評価の反省と今後の進め方の相談をしました。そしてたっぷりと宿題も貰いました。内容の濃かったレッスンが終わると身も心もくたくたになりました。

2008-09-06

Victorio's Ristorante

旅行でアメリカに来る度に食べていたピザが、いざ住みはじめるとすっかり遠ざかってしまいました。住んでいるアパートの懇親会でたまに出させるピザはピザと呼ぶには悲しい食べ物で、これをピザを食べたとカウントに入れたくありません。そうなると前回ピザを食べたのはいつの日のことだったかと、遠い記憶になります。

このレストランはNorth Hollywoodにあります。Victory Blvdを西に向かって走りVineland Aveを横切る手前の小さなモールの中の家族経営のお店です。
お店のドアを開けると愛想の良い初老のおじさんがカウンターから挨拶をしてくれます。そしておじさんの横に立つおじさんそっくりの20才台の男の子と鼻と輪郭がおじさんと重なる20才台の女の子もニコニコ笑顔で挨拶をしてくれます。専ら客席に料理を運ぶのはお姉さんの仕事で、お客さんの注文を奥の厨房に伝えたり、飲み物を用意するのが弟くんの仕事でした。
レストランはこじんまりとしていて、テーブル席が10席、30人も入れば満席です。夕食時に覘くとテーブルの4人席はお客さんで占められていました。テーブルの上や床は清潔に整えられてトルコキキョウの花が飾られていました。

この日は夫も私も胃腸の調子がいま一つで、レストランで食べるより、ピザを持ち帰って家でゆっくりと食べたほうが良いと意見が一致しました。
注文したのは16インチの大ピザで野菜と鶏肉とアンチョビがのったVictorio's Specialと玉ねぎと鶏肉にクリームソースをかけたBiancaでした。
焼けるのを待っている20分間、持ち帰りのお客さんのために用意された椅子に座っているとおじさんが「お水を飲む?」と尋ねてくれて、喉が渇いていた私が「欲しい」と応えると氷とレモンを入れた冷たいお水をくれました。レストランのメニューを見ながら夫とおしゃべりをしてお水を飲み干した頃にピザが出来上がりました。

家のオーブンでピザを温めなおして食べました。手作り感いっぱいのピザはドウの外側がぱりぱりで中はもちもちでした。スペシャルはチーズの上に玉ねぎ、カラーピーマン、ほうれん草、トマトがどっさりとのっていて、ペパロニとアンチョビがアクセントになっていました。白ピザはチーズクリームソースがたっぷりかかっているのに予想したよりも口に重く感じられませんでした。胃腸が本調子でないといいつつ、おいしかったのでぺろりと1人辺り1枚の2分の1ずつ平らげました。

ここのピザは1枚注文するたびにピザチケットが1枚もらえます。このチケットを7枚集めるとどのピザでも1枚引き換えてもらえます。7枚のチケットを集めたいなあ。

Traitor

私はデンゼル・ワシントンよりドン・チードルが役者として好きです。デンゼルは天性のカリスマ性がありすぎて、私の目には偉そうしているように映ります。対して、お猿さんのような情けない顔が表情豊かで行動が淡々しているギャップがドンの魅力です。だからドンは天使のくれた時間の道の外れた天使役もスウォードフィッシュの人情溢れる刑事と並んで、ホテルルワンダや今回のtraitorのような社会派の主人公と、幅広い演技ができます。

少しのボタンの掛け違いが大きな惨事を生む恐ろしさを見せられます。
オマールが合衆国で集めた10人の自爆テロ立候補者は一見普通の市民です。ある人は真面目な学生、ある人は子供や家族思いのお父さん、ある人は仕事に忠実なエリート会社員。このような普通の人々がある日突然自爆テロ犯に豹変するのです。
アメリカはキリスト教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、イスラム教徒、仏教徒と全ての信者に信仰の自由を保障しています。日曜日ともなるとクリスチャンの友人はミサに集まり、また敬虔なイスラム教徒のカレッジの先生は男性と握手はしないし、男子生徒が質問をするときはある一定距離に遠ざけます。それでも友人も先生もカレッジで誰にでも分け隔てない態度をとり親切です。
自分にとって身近な人や親しい友人が自爆テロ犯になるなんて予測は不可能です。ニュースを聞いた犯人の友人にとって晴天の霹靂です。

若いイスラム教徒たちの輪に入って宗教論と政治論を交わし、彼らの良心を焚きつけて自爆テロ犯に仕上げるオマールは、他人の命を奪わせる悪いことをしているとは微塵も考えません。アラーのために、他のイスラム教徒たちのために、自分に相応しいことをしていると信じて、フランス、イギリス、アメリカと場所を変えて次々と犯人たちを造っていきます。
物事の思い込みの怖さがじわじわと私の身体を包み、オマールが信仰を熱く語れば語るほど、私は薄ら寒くなりました。

映画が進むにつれてオマールの言動の薄気味悪さよりも、それを仕向けさせている金庫番のイクバルと参謀のサイールの態度に腹が立ちました。この二人のような性質の悪い人を成敗してくれる正義の味方よ、出てこーい、と念じながら見ていました。

Traitor

社会派作品での活躍が素晴らしい Don Cheadle ですが、今回はイスラム社会のアメリカ社会の狭間で生きる人々の葛藤を描いた新作 "Traitor"[IMDb] を観てきました。

イスラム社会とアメリカ社会のどちらに正義があるのかという話題をスレスレでかわしながら、ひとりひとりの心の葛藤に焦点を当てつつ、誰が何(人、国家、信条)に対する裏切り者 (Traitor) となっているのかを考えさせられる作品でした。

久々にスクリーンでみる Guy Pearce でしたが、髪を短く口髭あご髭を蓄えた姿に最後まで彼だと気付きませんでした。


ところで今回鑑賞した劇場は DLP による 2K Digital 上映だったのですが、RealD による 3D 上映設備も兼ねたシルバースクリーンに映写されたため、最後列でもまぶしいくらいの明るさで、画の階調がつぶれてしまっていた上に、画素の合わせ込みが悪く、白の輪郭が緑と赤で縁取られており、さらにラストクレジットでは文字の斜め線がギザギザに見えてしまうという最悪な映像で観ることになってしまいました。もしチケットを買って観ていたら「金返せ!」と文句を言いに行っていたかも知れません。殆どの観客はこんな劣悪な映像を見せられても、映像システムの問題であることには気付かないのでしょうね。フィルムの落ち着いた映像で楽しみたい作品でした。

Bangkok Dangerous

Nicolas Cage が暗殺者に扮したアクション作品 "Bangkok Dangerous"[IMDb] を観てきました。

世界中の街を点々としてきた暗殺者の今回の舞台はタイはバンコク。「自分が標的になる前に姿を消すこと」という自分自身の掟を自ら破ることになってしまった暗殺者の運命は?

まあテンポの良いアクション作品に仕上がっていましたが、有名俳優は Nicolas Cage のみというところがちょっと辛いところかも。