2009-12-20

蛇にピアス 金原ひとみ著

綿矢りさの「蹴りたい背中」には3日かかったけれど、金原ひとみの「蛇にピアス」は1日で読み終えました。理由は文章を味わうのが苦痛だったからです。

主人公ルイは蛇のように先が分かれた舌のスプリットタンを持つ男アマに惹かれて身体改造をします。アマが紹介したシバに頼んで背中には刺青、舌にピアスと身体改造に挑みます。

ルイは「ルイ・ヴィトンのルイ」と自己紹介をして、アマも「アマ・デウスのアマ」と応え、お互いに本名も年齢も知らないまま半年以上の時を一緒に過ごします。ルイがアマの名前と歳を知ったのはアマが死んでから。

身体改造の一つのスプリットタンは舌に細いピアスをつけて、そのピアスをどんどん太くしていき、最後に舌先を切り分けます。
スプリットタンの過程は読むだけで痛さが想像できます。このような苦痛の描写が多いために、私の頭は文章を味わうのを拒否しました。字面を目で追う読書作業はまるで広告チラシを眺めるようなもの。さらさらと一ページ一ページを読み進めていきました。

不思議なことに私は蛇にピアスを途中で止めずに、最終ページまで読んでしまいました。その位、文章に魅力があったのです。

この作品は芥川賞を受賞しました。この年は史上最年少の綿矢りさ「蹴りたい背中」と一歳違いの金原ひとみの同時受賞で話題を呼びました。


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