2009-07-30

夏期講習が終わって

じりじりと照りつける夏の太陽の下でせっせと通い続けた夏期講習が終わりました。
今夏は2つの講座をとったために、午前10時から午後3時まで教室に缶詰となった上に家では深夜まで課題をこなすほど心にも身体にも全く余裕がありませんでした。登下校では、プールサイドのビーチベッドで本を読む自分の姿を思い描いて雲一つないカリフォルニアブルーの空を恨めしく見上げていました。
1日も休まずに講習に行った私を週末は休めてあげましょう。週が明ければ、ブログを再開するつもりです。

2009-07-28

紙漉き

LA郡の教育予算が削られて公立の小中学校では体育と美術(図画工作)の授業が行われません。学校の授業の代わりに子供たちは地域の公園や体育館やプールで体育が、図書館で図画工作が無償で受けられます。
図画工作はロサンゼルス郡美術館(LACMA)の学芸員によって指導されます。毎週決まった時間に地域図書館へ学芸員が派遣されます。地域の子供たちに芸術に親しみ、工作の楽しみを知ってもらうのです。私の住む地域の図書館は毎週火曜の4時から5時です。

派遣された学芸員はそれぞれの得意分野によって子供たちの活動を展開します。油絵、水彩画、粘土、デッサンといろいろです。
更に夏休みの間はサマースクールとして特別な講習会が催されます。例えば、写真の現像、コラージュ製作、消しゴム版画など。私がこの夏一番印象に残ったのは紙漉きでした。

紙漉きの日は日系人の小柄な女性講師が図書館へやってきました。小さな身体からパワフルな講習会を展開してくれました。子供たちは講師に釘付けでした。講師は紙の歴史、用途、材料、紙の作りかたをはきはきとした口調で説明してくれ、子供たちは早く紙漉きを体験してみたくてうずうずしていました。

その日は紙漉きと製本の二つの活動が並行して行われました。子供たちを2つのグループに分けて交互に製本と紙漉きにかかります。図書館員とボランティアも2つに分かれました。

私は紙漉きの担当になりました。子供たちがスノコに漉きあげた紙の水気を抜くのと、スノコから紙をはがすのを手伝います。

スノコにあがった紙の水気をスポンジで吸い取る作業では力加減が分からず、ぐいぐいとスノコにスポンジを押し付ける子もいれば、こわごわとスポンジで紙の表面を撫でるだけの子もいます。それぞれの子供の調子を見ながら何回くらいスポンジを押し付けるか指示したり、手本を見せて真似をさせたりしました。

スノコから紙を剥がす作業ではスノコと紙の間に息を強く吹きかけます。小さな子供で顔を真っ赤にして息を出しても息が足りずに紙が全く剥がれないときは、横からさりげなく息を吹きかけたり、一番剥がれにくいところを先に吹いたりしました。
力みすぎて息を吹くつもりが唾を吹きかけてしまった男の子もいました。「誕生日ケーキのろうそくを吹き消す要領で吹いてごらん」と促すと大抵の子はできるようになりました。

スノコから剥がれた自分独自の紙を見るときはどの子の目も輝いていました。二つとして同じ模様のない紙です。「あなたの作った紙は世界に1枚、あなただけの紙なのよ」と私が言うとこどもたちはにっこりと笑って大切に家に持って帰っていました。子供たちに満足した笑顔を向けられると私も自然に笑顔になります。

私もボランティアのご褒美に製本された日記と手漉きの紙を後日もらいました。この夏の記念としてとってあります。

2009-07-16

高校生の進路

ボランティアの合間に地元の高校生とおしゃべりをしています。
RちゃんもEちゃんも私立の女子高生。家庭は裕福で両親は教育熱心です。

Eちゃん:どこの大学を希望しているの?
Rちゃん:UCLA。あなたは?
E:家から出たいからUCバークレー。州外の大学も受けるつもりなの。
R:私も州外の大学に応募するつもり。
(さらりとUC系を挙げる辺りがお嬢さま学校でありながら、過去に大勢の卒業生を有名大学に合格させている進学校に通っている生徒たちです。)

私:州外ってどこに行きたいの?
E:シカゴって考えたんだけど、冬がすごく寒いらしいからやめた。
R:私はNYに行きたいってママに言ったら大反対された。危険がいっぱいあるからダメって。パパは何も言わなかったけど。
E:あら、あなたも?私のところはママもパパも反対で、怖い人がいるからダメだって。
(いえ、いえ、あなたたちは既に危険がいっぱいある大都市に住んでいるのですけれど。)

私:じゃあ、ジョージア州(アトランタ)やルイジアナ州(ニューオリンズ)は暖かくてのんびりしてていいんじゃない?
R:想像もしていなかったわ。私はLAみたいな大きな街がいい。
E:大学生活が想像できない。私はやっぱり東海岸。

どうやら南であっても大都市でなければ彼女たちのお気に召さないようです。
話を聞いていると、大阪・京都・神戸といった関西の大都市で生まれ育った高校生と進路事情が似ています。第1志望は地元。第2は東京や名古屋のような東の大都市。北海道や東北地方は冬の寒さを、九州や四国は街の小ささを想定して志望に挙がらない。

Rちゃんは小学校から今の学校でこの秋から高3の受験生、Eちゃんは中高一貫校でこの秋で高2。二人とも志望学部を絞りかねているとのこと。RちゃんもEちゃんも青春真っ只中。不安と期待を抱えながら将来を模索中です。