2008-08-07

マンマ・ミーア!

原題「Mamma Mia!」
海に浮かぶ小さな手漕ぎボートが小さな島に近づくシーンで始まりました。
澄んだエメラルドグリーンの広い海にぽつんと浮かぶ島はごつごつした岩でできています。岩にへばりつくようにして立てられた小さな家々が見えます。大自然の中では、人間がちっぽけな存在です。
1年中温暖な気候に恵まれたエーゲ海の島に住む人々は、自然と共存しています。島で採れる食糧は限られていて暮らしぶり質素です。けれど都会よりもゆったりとした時間が流れていて、美しい景色と爽やかな風に守られた人々の表情をみると、心に栄養がいきわたった豊かな暮らしをしていることが見れ取れます。
花嫁は家の門を出るとロバに乗せられて、丘の上にある小さな教会を目指します。教会では村人が参加して花嫁と花婿の門出を祝います。結婚式のご馳走は丸ごと焼いたチキンとサラダ。豪華な晩餐はなくても、友人、親兄弟、村人皆から祝福を受ける披露宴は結婚する二人にとって思い出に残るでしょう。
映画全編を通してギリシアの観光ビデオを見た気分になり、ギリシアに行きたくなりました。

ミュージカルでは主人公はソフィアでした。母子家庭に育った彼女はマリッジブルーになります。そこで母親の日記から父親の可能性のある3人の男性を結婚式に招待します。イギリスの貴族、大会社の社長、ヨットで世界をめぐる自由人と特色のある3人の男性から愛する女性から生まれたソフィの父親になりたい宣言を受けます。自分の生い立ちを振り返り自分が望まれてこの世に生まれてきたことを知り、理想の家庭を築こうと心に誓います。ところが、映画では主人公は母親のドナでした。ドナは女手一つで貧しく質素な暮らしだけど愛情いっぱいに娘を育てました。純真で心優しく素直な娘になったソフィアを手放す嬉しくも切ない思いが映画のそこここに散らばります。そして娘にはドナの人生を歩まず1人の愛する男性と添い遂げて欲しいと願います。メリル・ストリープがThe Winner Takes It All を岸壁で切々と歌い上げたシーンが山場でした。

メリル・ストリープはこのマンマ・ミーアでアバの人気曲のほとんどを歌い踊りました。シリアスな演技から、コメディ、そしてミュージカルまでこなす彼女はまさにマルチ・タレント。メリルには不可能という文字はないのでしょうか。40歳を超えても第1線で活躍する女優は数少なく、プライベートでは4人の子供の母であり、ハリウッドには珍しく離婚歴がない。女優(仕事)と母と妻と2足以上のわらじを履き続けています。メリルは現代のスーパーウーマンです。

007ジェームズ・ボンドのピアース・ブロスナンとブリジット・ジョーンズのコリン・ファースも歌い踊らせた製作者は、どうやって彼らを説得したのか知りたいです。

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