2009-09-02

楽器演奏

ひょんな理由で10年振りにクラリネットを吹くことになりました。

昨夜遅くにひょこひょこと戸棚の奥から日本から持ってきたクラリネットを出しました。傷がないか点検したら1箇所パッドに不安があるものの大丈夫で安心しました。リードやグリスやスワブもケースに収めて準備完了。

大学の音楽の授業に15分も遅刻してしまいました。教室は音響の整ったリハーサル室。いつでも演奏ができるように指揮台や譜面台が揃えて置いてあります。こっそりと部屋に入ったつもりが、いきなり指揮台の真横に出てしまいました。先生に言われて楽器の準備が整うとオーディションです。

準備をするための場所があり、そこでクラリネットを組み立てて、少々音だしをしました。10年のブランクがあったのになんとか吹けそう。楽器を持って先生の横に立つと「何かやって」と言われ、心の準備もないまま息だけ整えて吹いたのが「朝鮮民謡」の最初のところ。正面に座っていたサックス担当の老韓国人夫婦が姿勢を正して聞いてくれました。斜め前のホルン担当のユダヤ人のお兄さんはこの曲何?と怪訝な顔をしていました。

先生のOKが出たのでほっとしてクラリネットの区域に座ると、次の人の順番になりました。私が木管楽器の最後だったらしく、金管楽器に先生の視線が移りました。トランペットのユダヤ人の男の子が真っ赤な顔をしている割りに気合の入らないパフーンと開放音を出しました。先生がアンブシュアを整えてから音を出すように注意して再挑戦。2度目はパプーとそれなりの音が聞こえました。先生はそれでOK。そして次のトランペットの男の子。どうやら「何かやって」は「音を出して」だったらしいです。それでホルンのお兄さんに怪訝な顔をされたのです。ああ、失敗。

全員のオーディションが終わると、斜め後ろに座っていたあの老夫婦の奥さんに「アンニョンハセヨ」と挨拶されました。「韓国人ではないんです」というと、旦那さんがきれいな日本語で「アリランを吹いたからてっきり韓国人だと思ったよ。日本人なら「さくら」を吹けばよかったのに」と言われてしまいました。それもそうだと思いました。

先生はオーディションに結果全員クラスに認可することを告げました。よかったと胸を撫で下ろしました。これでクラスは確保できました。

この日の授業は呼吸、アンブシュア、タンギングでした。それぞれのパートで先生に指名された人が見本を示します。見本を示した人の中でアルトサックスに知っている顔がありました。以前、英語クラスでエッセイの見直しを交換した人です。音楽の授業は校舎も違うために英語のクラスメートだった彼女に出会うとは意外でした。彼女も私を覚えてくれていて、見本を示したあとで私に手を伸ばして「久しぶりね」と握手と挨拶を交わしました。

片付けでは座席の並びで私と正反対に座っていた老婦人モリーがわざわざ手を伸ばして握手と挨拶をしてくれました。彼女がコンマスです。
音楽それも特にアンサンブルの良いところは楽器演奏者同士が直ぐに打ち解けることです。音を合わせるには気持ちも合わせなくてはいけないことを皆体験上知っているのです。また、楽器の音の特長はその人の性格の特長に類似しているために、言葉を交わさなくても相手のことが分かります。更に、音楽の言葉は世界共通。先生の言葉が他の教科より耳に入りやすく理解できます。

モリー、デビッド、アンナ、マリアと1回目の授業で35人中4人の名前と顔と担当楽器を覚えました。この調子だと一月もしないうちに全員の名前と顔が一致できそうで嬉しいです。

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