2009-09-14

スケールとリズム

アンサンブルを指導するR先生は坊主頭で年齢も国籍も不明な不思議な先生です。指導中は冗談がポンポンと口から出てきます。学生に演奏中の緊張感を持たせつつ、合間にリラックスさせるように、バランスの舵取りが上手です。

2回続けて遅刻した私は、今回は早めに家を出たため、授業開始20分前に着きました。合奏室出入りより10分も前です。
合奏室前で前授業の終了を待っている間に、トロンボーンのHくんと今日から新入りのクラリネットのCちゃんと話をしました。
Hくんは元々トランペットで高校のマーチングバンドに所属していたそうです。この授業ではトランペット希望が多く、それでも授業をとりたい関係から同じ金管のトロンボーンに回ったそうです。私はそれを聞いて人数の少ないパートで良かったと思いました。
Cちゃんはお兄さんのクラリネットの演奏に憧れて楽器をするならクラリネットと決めてました。家でお兄さんのクラリネットを吹こうとして滅茶苦茶怒られて以来、楽器に触っていないし、音楽は初めてだと言います。それでも楽器と教科書を用意してやる気満々です。合奏室への入室を待つ間、彼女は教科書の音符を指差して「この音は何」とか、「(クラリネットは)どうやって組み立てるの」とか、どんどん質問をしてきます。出入りの時間、彼女は当然のようにちょこんと私の隣に座りました。

今日は前回の指揮の復習と譜面を読むことそしてリズムです。
指揮の復習で、構え、息を出すはOKでした。アンサンブルの人たちは大体の指揮の流れは覚えているものの、先生が手を下ろす前にだらけるパートがあるのが残念。次回の課題です。

音階は教科書に沿って行いました。B♭からFまでは前回と同じ。違うのは教科書の音階を読めるようになることです。クラリネットはB♭、フルートはC、アルトサックスはE♭と順に基準の音と音階確かめていきます。
Cちゃんは音が変わる度に表情もくるくる変わってかわいい反応でした。音が変わると指を確かめに私の方を向きます。先生が要求している音がでるのかどうか心配そうな顔をしていました。そして勢い良く吹き、先生にOKをもらうとにこにこしていました。眉と目じりが上がったり下がったりと忙しいです。

リズムは教科書の最後のページにあります。一つ一つを手拍子で確かめます。先生がメンバーの経験者を一人一人指名して手拍子をさせます。次はそれを全員でするのです。72パターンのリズムの内10パターンまで進みました。

授業は早くも終了15分前です。
ここで先生は選んだ(楽器の演奏ができる)人に楽譜を渡して行き、同時に席替えも言い渡しました。私は1st と2ndの2種類の楽譜をもらい、古株Mさんの隣になりました。
端から内側へ順にMさん、私、Vさん(初心者)、Cちゃん(初心者)になり、Cちゃんは私と離れて心細い顔をしてじっと見つめてきました。(そんな顔をされても先生の指定だからと心で言い訳。)
私は隣になったMさんに改めて「同じ楽譜(1st Cla)で宜しく」というと、「私、上の音が吹けないのよね。だから1stは嫌なの」と。Mさんの上の音とはhigh DでなくオクターブキーのD。(えー、そんなぁ。話が違うよ。)
私は一瞬顔が青ざめましたが、すぐに気を取り直して「私が教えるからなんとか吹いて」と押し切りました。
もらった楽譜はテスト用です。期末のペーパーテスト以外に3回の実技テストがあります。初心者と中級者が混じったこのクラスの実技テストは、初心者は音を出せればOK。中級者はアンサンブルの出来で成績が出されます。つまり、中級者となったMさんに担当楽譜を演奏してもらわなければ、クラリネットは私のみ。いくら私が経験者でも2曲全部ソリスト状態は勘弁です。私は心を鬼にしてクラリネットパートを扱いていくことを誓いました。

早速10分間の練習時間、Mさんを突付いてオクターブキーを使った音を一緒に出して行きました。Mさんのスカスカと息の音だけがするB♭より上の音。おばあちゃんだし無理させて何かあっても困る、だけど音がでなければソリストになってしまう、と心の葛藤が続きました。ついにMさんの体力負け。先は長そうです。


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