2008-11-08

ワールドオブライズ

Gang of New York, The Aviator, The Blood Diamondと良い映画に出演し、良い演技を発揮するレオナルド・デカプリオに私は魅入られます。早くアカデミー賞をとって欲しいです。

CIAのフェリス(ディカプリオ)がテロリストのアリ・サラムを追ってサウジアラビア、ヨルダン、カタールと中東諸国を飛び回り命を削る活動をしている一方で、ボスのエド(ラッセル・クロウ)はアメリカの参謀本部でその活動を空から見つめるだけです。フェリスの報告を受け答えしつつ、エドは娘の小学校の送り迎えや夜中に起き出した息子のトイレの世話をします。
家庭では良き父親となり子供の世話をし昼間はオフィスで勤務をする人と、緊張を抱えて一瞬先の命の保証のない中東の戦場にいる人との対比は、今まさしくアメリカの抱える現状です。

ヨルダンの情報局長のハニ(マーク・ストロング)は食えない男です。ヨルダンとCIAがテロリスト捕縛のために手を組むことを楯にフェリスはハニからも任務を言い渡されます。敵の敵を味方につけたり、相手のわずかな心の隙をついて自分に有利な方向へ話を導いたり、部下が失敗すると容赦ない制裁を加えたりとハニは冷淡でずる賢い性格の持ち主です。ハニは家庭で子供は可愛がるけれど世話はしません。ハニと妻子の食事は別で、ハニの身支度などの世話は妻がします。
エドとハニの気質と二つの情報組織の体制の違いはキリスト教徒とイスラム教徒、米国と中東の国の違いです。米国と中東は歴史的にも政治的にも大きく違いすぎて、どちらが良いか悪いかで比べられるものではありません。

フェリスはイラクで活動を共にしていた相棒を目の前で失い、自分も幾針も縫う傷を負います。フェリスは手術で運ばれたカタールの米軍基地で心と身体の傷も 癒えない内に次の任務を言い渡されます。エドは次々と任務を伝える度に、一つの任務が終わったら本国に帰りたいというフェリスをなだめます。任務が遂行するとエドは約束通りにフェリスに本国へ帰るよう命ずるのですが、、、。

フェリスは任務中のヨルダンで犬に咬まれてしまい、民間の病院で治療を受けました。その病院のイラン人看護婦のアイシャ(ゴルシフェ・ファラーニ)の聡明さと美しさに一目惚れします。
ゴルシフェはコーヒー色の肌と黒い髪と黒い目を持つ目鼻立ちのくっきりした美人さんです。
私の周りにも中東美人さんたちがいます。イラン人のIちゃんは欧州系の顔立ちでこげ茶色の肌をしています。鼻が高く、まぶたはくっきり二重で、黒い髪は艶のあるストレート。物事の考え方が論理的、数学が得意で確率統計の勉強会では率先して学習をリードしてくれました。
同じくイラン人のMちゃんはアジア系の顔で、真っ白な欧州系の肌にピンクの頬をしています。小さいけれど形の良い鼻と切れ長の一重瞼で瞳は濃いグリーン、髪はふわふわのカールをした黒です。日本人と同じで第2外国語として中学校で英語を習い始めて、大学で英語は専門ではなく、大学を卒業後米国に来て3ヶ月に満たないのに私と出会ったときはアメリカ生まれアメリカ育ちじゃないかと思うくらい英語が堪能でした。
トルコ人のKちゃんはMちゃんと同じくアジア系の顔立ちで、色白の肌に地中海のような青い瞳で髪は明るい茶色。はにかむように笑った顔が可愛いKちゃんは手先が器用で手作りのバックや手編みのセーターを身につけていました。料理とお菓子作りも得意で授業に何度か差し入れしてくれたおやつは美味しかったです。
アジアと欧州が融合した中東美人さんたちを見ていると、日本人の間で流行っている美白化粧や茶髪が嫌らしく感じられます。

アイシャと親しくなろうとフェリスは言葉や態度で示します。イスラムの国ですから外でお茶をするだけでもアイシャとフェリスは好奇の的になります。やっと家のディナーに招待されてもアイシャの結婚した姉と同席です。フェリスは姉の詰問にもめげずに応対して甥っ子たちとも仲良くなりました。姉からアイシャと打ち解ける許可を得て晴れ晴れとした気持ちでフェリスはアパートを去ろうとします。別れる際にアメリカ人の習慣でアイシャと握手をしようとします。アイシャも手を出しかけたのですが、直ぐに引っ込めます。フェリスが見上げると姉だけでなく近所の女性たちがみんな家の窓から顔を出して二人を見ていました。
フェリスの恋路は長いけれど二人の心が着実に近づいているのが見えました。

アメリカと中東、この水と油のように違う国の相互理解の鍵は、アイシャとフェリスにあり、二人の歩み寄りのように二つの国が差異を認めて互いに近づく努力をすれば、平和への道が開けると、この映画は伝えていると思いました。

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